圧力センサ・流量センサ・水位計・その他圧力測定全般

 圧力センサ・表示器のカタログ用語説明                               

                          
                                           2016年6月           
1. 測定と精度
測定値は「真の値」に対して必ず誤差を含みます。
しかし、より高精度のセンサになると、「真の値」に近い測定値を出力することが
可能です。センサに求める精度は使用状況によって大きく異なり、
そのため高価でも高精度なセンサ、低精度だが安価なセンサと、
さまざまな個性を持ったセンサが用意されています。
 
 精度
直線性、ヒステリシス、再現性を合計した、信号出力の誤差の最大値です。
出力のフルスケールに対する百分率で表す方法(単位:%FS)と、
出力の読み値(Reading)に対する百分率で表す方法(単位:%RS)があります。
 
 標準出力信号

センサが本来出力するはずの、計算で求められる出力です。
標準出力信号 = 測定圧力 ×(出力フルスケール÷圧力レンジ)+オフセット
 
 直線性
圧力センサの標準出力を基準として、加圧時の信号出力の最大誤差を、
出力に対する百分率(%FS、あるいは%RS)で表した数値です。
ある圧力ではプラスの誤差、また別の圧力ではマイナスの誤差というように、
センサの個体によって直線性の傾向は異なります。
 
 ヒステリシス
センサを加圧したときと、その圧力から減圧したときに発生する、信号出力の差です。
 
 再現性
同一の圧力を加えたとき、個々の測定値が一致する度合いです。
経年劣化で再現性が悪化する場合はセンサの寿命で、校正しても良くなりません。

 
 長期安定性
センサの特性が、仕様に定められた条件や長期的な経過時間(6ヶ月もしくは1年)内で
 どれほど変化しないかを表します。
 
 有効数字/分解能
有効数字とは、計測時の確度に必要な最大有効桁数です。
精度に関連する用語で、精度を確定するのに必要な最小桁数までの
 最大桁数を表します。
 
分解能とは、正しい圧力測定の最大有効桁数の最小値です。
表示器に関連する用語で、圧力値が変化したときに確認できる最小数値です。
 
例として圧力レンジ100kPa、精度1.0%のセンサを考えると、
4桁(小数点第1位まで)ということになります。
 

2. 圧力範囲の種類
圧力を測定するときは、どこを基準とするかが大切です。
 
 ゲージ圧
大気圧を基準として加圧か減圧、一方向の圧力をかけたときの圧力範囲です。
大気開放状態では0を示します。
 
 シールドゲージ圧
センサ内部に封入した大気圧を基準として加圧か減圧、一方向の圧力をかけたときの
圧力範囲です。大気開放状態ではセンサ内の基準圧力との圧力差を示します。
ゲージ圧の一種ですが、センサに悪影響のある高温・高湿度の場所などでの圧力測定に向いています。
 
 連成圧
大気圧を基準として減圧から加圧まで同じセンサで計測する圧力範囲です。
 

 絶対圧
真空を基準として計測する圧力範囲です。大気開放状態では現在の大気圧を示します。
 
 一方向差圧
基準圧ポートにかけられた圧力を基準として加圧か減圧、一方向の圧力を
かけたときの圧力範囲です。
基準圧ポートと正圧ポートの圧力差を示します。
 
 二方向差圧
基準圧ポートにかけられた圧力を基準として減圧から加圧まで同じセンサで
計測する圧力範囲です。
差圧の一種ですが、基準圧よりも低い圧力から高い圧力までを測定することが可能です。
 

 耐圧
センサのフルスケール圧力を超えて加えることのできる最大の圧力です。
過大圧力のために、センサの物理的な破損や直線性への影響など、
精度や様々な仕様の悪化が起こる可能性があります。
 
 ライン圧
差圧が0のときに、基準圧ポートと正圧ポートに等しくかかっている圧力を表します。
ライン圧にはほとんどの場合、圧力レンジよりも高い圧力が設定されています。
使用状況によっては差圧がごく微小でもライン圧は非常に高いという状況も考えられます。
このときに配管の破損などが起こると、基準圧ポートと正圧ポートの間に圧力差が生じて
耐圧を超えてしまう場合もあります。
 
例として、
基準圧ポートに400kPa、正圧ポートに410kPaの圧力をかけて

+10kPa付近の圧力差を計測するというアプリケーションを考えたとき、
「ライン圧が400kPaかかっている状態で一方向差圧10kPaを測定する」
と言えます。
 
3. Setra社の圧力検出方式:静電容量方式
Setra社のセンサは高精度・長期安定を実現するため、圧力の検出方法として
静電容量方式を採用しています。
加圧されたダイヤフラム(受圧部)が変形して電極との間の距離が変わることによって、
静電容量(キャパシタンス)の変化を検出し、圧力に換算します。
静電容量方式でも、ゲージ圧・絶対圧センサと差圧センサで検出方法は異なります。
以下の図3-1が204,205-2,280Eなどゲージ圧センサに、図2は239など差圧センサに採用されている方式です。
 

 
図3-1:静電容量方式の検出方法:ゲージ圧・絶対圧センサ
加圧されるとダイヤフラム-電極間の距離が離れ、静電容量が小さくなる。
 
 
 
図3-2:静電容量方式の検出方法:差圧センサ
加圧されるとダイヤフラム-電極間の距離が近づき、静電容量が大きくなる。
 
4. 電気データと圧力継手
出力信号の形態としては、測定値自体を電圧・電流値と一致させる方法と、
それとは別に広く普及している計装出力があります。
計装出力の例としては 0-5V、0-10V、1-5V、0-20mA、4-20mA などが一般的です。
仕様の異なる複数のセンサを使用する際に便利であるように設計されています。
 

 電圧出力:3線式/4線式
電圧出力センサの場合、3線式と4線式の区別があります。
3線式では、電源線の負極側が信号線の負極と共通になっています。
3線式…… 電源(+)、出力信号(+)、電源(-)
4線式では、電源線の負極側と信号線の負極には電位差がある場合があります。
この場合は接続すると正常に動作しません。
4線式…… 電源(+)、出力信号(+)、出力信号 (-)、電源(-)
 
 電流出力
ここではSetra社の圧力センサの電流出力によく使われる4-20mAについて紹介します。
このタイプの2線式電流出力では信号線で電力を供給しているので、
信号がゼロのときでも常に電流が流れています。
具体的には、4mAをオフセット、スパン範囲を16mA、フルスケールを20mA、
出力形態を4-20mAとする電流信号です。
電流出力…… 信号線(+)、信号線(-)

この電流信号を250Ωの抵抗に通して、1〜5Vの電圧信号として扱うことも可能です。
電流で信号を読み取るため電圧ノイズに対して強く、長いケーブルでも電線の影響を
考えずに計測できるという利点があります。
 
 ネジ規格
圧力ポートのネジ規格として、当社の扱う製品では NPT、R(PT)、G(PF) といった
ネジ規格が多く使用されます。
それぞれ互換性が無いのでよく確認してお使いください。
 
NPT(National Pipe Thread Taper)…… アメリカを中心に使用される
管用テーパーネジ。シールテープを用いてシールします。
Setra社のセンサの継手などに使われています。
 
R(PT)……ISO規格(JIS規格) としてヨーロッパ・日本などで使用される
管用テーパーネジ。シールテープを用いてシールします。

 
G(PF) ……ISO規格(JIS規格) としてヨーロッパ・日本などで使用される
管用平行ネジ。Oリングやガスケットを用いてシールします。
KELLER社のセンサの継手などに使われています。

 


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